柳の枝(壁紙)
Wallpaper "Willow Bough"
- デザイン:ウィリアム・モリス
- 1887年
- 木版、色刷り
- 製作社:モリス商会
1871年6月、モリスはダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ(Dante Gabriel Rossetti, 1828-1882)とともにコッツウォルズ地方へ足を伸ばし、ケルムスコット村の端に佇む「ケルムスコット・マナー(Kelmscott Manor)」を賃借します。
ケルムスコット・マナーのほとりにはテムズ川の小さな支流が流れており、素朴な自然が残る周囲の環境はモリスにとってのデザイン・ソースとなりました。
本作の制作に関して娘のメイ(May Morris, 1862-1938)は、モリスがケルムスコット・マナーで熱心に柳を観察していたことを、次のように書き残しています。
「ある日、私たちはテムズ川に合流する近くの小川に沿って歩いていました。父は葉のフォルムの細部や多彩な様態を指しておりました。その後まもなく、この壁紙が制作されたのです。我が家の柳を鋭く観察した結果から描かれており、ロンドンの多くのリビングルームを緑の葉で囲まれたようにしたものです。」
上方へと枝葉を伸ばす、生き生きとした柳の姿をとらえた本作は、モリス商会を代表するデザインの一つとして知られています。
画像クレジット
- The Red House ... photo (2011) ©Mineko Orisaku, ©Brain Trust Inc. Thanks to the National Trust Red House, Bexley, London.
- ウィリアム・モリス 内装用ファブリック《柳の枝》1887年 ... photo ©Brain Trust Inc.
参考文献
- Parry, Linda (ed.), "William Morris", Exh. Cat. London : Victoria and Albert Museum, 1996.
- 京都国立近代美術館、東京国立近代美術館、愛知県美術館編『モダン・デザインの父 ウィリアム・モリス』NHK大阪放送局、1997年。
- ブレーントラスト・能登印刷出版部編、藤田治彦監修『ウィリアム・モリスとアーツ&クラフツ』梧桐書院、2004年。
- ブレーントラスト/求龍堂編、藤田治彦監修『ウィリアム・モリス 原風景でたどるデザインの軌跡』求龍堂、2017年。
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